SEC、暗号資産発行に関する開示要件を明確化。カストディに関するラウンドテーブル開催予定も
発行体へ向け開示要件を明確化
米国証券取引委員会(SEC)の企業財務部門(Division of Corporation Finance)が、暗号資産(仮想通貨)市場における証券の提供および登録に関する開示要件についての声明を4月10日に発表した。
この声明は、暗号資産に対する連邦証券法の適用を明確化することが目的。発行体は、債券、株式、または発行時点で投資契約に該当する暗号資産トークンを発行する際に、この開示要件に準拠する必要がある。
声明では、複数の登録フォームに関連する開示要件が示されている。具体的には、Form S-1(証券法に基づく登録)、Form 10(証券取引法に基づく登録)、Form 20-F(外国私企業による登録)、Form 1-A(Regulation Aに基づく登録免除)などが含まれる。
これらのフォームにおいて発行体は、自社の事業内容、リスク要因、証券の特徴、技術的仕様、取締役・執行役員・主要従業員の経歴、ならびに証券や暗号資産の供給状況などについて、具体的かつ明確に開示することが求められる。
開示すべき内容には、事業の現状および将来的な計画、ネットワークやアプリケーションの開発状況とタイムライン、コンセンサスメカニズム、トランザクションの処理能力、ガス料金などの技術的詳細、ガバナンス体制とその運用方法、価格の変動性や流動性、サイバーセキュリティ、法的・規制上のリスク要因などが含まれる。
またSECは発行体に対し、要件に準拠した財務諸表の提出を求めている。加えて発行体には、証券保有者の権利を定める文書を添付資料として提出することも求められた。
トランプ政権下でSECは、暗号資産政策の見直しを目指すタスクフォースを設立した。
このタスクフォースは、暗号資産が証券に該当するかどうかの判断基準や、適切な開示要件の策定などを通じて、包括的な規制ガイダンスの構築を目的としている。今回の開示要件も、同タスクフォースの検討材料として活用される見込みだ。
さらにSECは、暗号資産タスクフォースの主催により、4月25日13:00〜17:00(米国東部夏時間)に、ラウンドテーブル「カストディアンを知る:暗号資産の保管に関する重要な考慮事項(Know Your Custodian: Key Considerations for Crypto Custody)」を開催することを4月16日に発表している。
このイベントはワシントンDCのSEC本部で開催され、対面およびオンラインのハイブリッド形式で実施される予定だ。
このラウンドテーブルでは、暗号資産の保管(カストディ)に関する規制上の課題について議論が行われる。
タスクフォースのリーダーであるSEC委員のヘスター・パース(Hester Peirce)氏は、「暗号資産を既存の規制構造に統合するにあたり、カストディの問題は最も難解な課題の一つである」と述べ、専門家の意見を広く募る姿勢を示した。
ラウンドテーブルには、SECからはパース委員をはじめ、キャロライン・クレンショー(Caroline Crenshaw)委員、マーク・ウエダ(Mark Uyeda)委員長代行、タスクフォースのチーフオブスタッフのリチャード・ギャバート(Richard Gabbert)氏が参加予定である。
暗号資産関連企業からは、クラーケン(Kraken)の消費者事業・製品担当副社長マーク・グリーンバーグ(Mark Greenberg)氏、アンカレッジ・デジタルバンク(Anchorage Digital Bank)のチーフリスクオフィサーであるレイチェル・アンダリカ(Rachel Anderika)氏、エクソダス・ムーブメント(Exodus Movement)のチーフリーガルオフィサーであるヴェロニカ・マクレガー(Veronica McGregor)氏、フィデリティ(Fidelity Investments)のプロダクトマネージャーのテレンス・デンプシー(Terrence Dempsey)氏、ファイアブロックス(Fireblocks)の最高法務・コンプライアンス責任者のジェイソン・アレグランテ(Jason Allegrante)氏らが参加予定だ。
参考: SEC開示要件に関する声明 、 SECラウンドテーブルに関する声明
画像:Reuters
関連ニュース
- OpenSea、SEC暗号資産タスクフォースに意見書提出。取引所・ブローカー該当を否定
- 米上院、SEC委員長にトランプ指名のポール・アトキンス承認
- SECが暗号資産の規制整備に向け専門チーム、業界締め付け方針転換へ
- トランプ大統領、暗号資産推進を再度表明。SECの暗号資産タスクフォースも規制議論の円卓会議を開催予定
- 米SECのピアーズ委員、暗号資産タスクフォースの取り組みを概説
関連するキーワード
SEC、暗号資産発行に関する開示要件を明確化。カストディに関するラウンドテーブル開催予定も
この記事の著者・インタビューイ
髙橋知里
「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
合わせて読みたい記事
免責事項:本記事の内容はあくまでも筆者の意見を反映したものであり、いかなる立場においても当プラットフォームを代表するものではありません。また、本記事は投資判断の参考となることを目的としたものではありません。
こちらもいかがですか?
イーサリアム開発者はFusakaハードフォークでガス制限を4倍に増やす計画
韓国の主要右派政党が暗号通貨産業を活性化させるための新法を推進
連邦準備制度理事会の代弁者:トランプ氏の発言は次期連邦準備制度理事会議長の職務をより困難にするだけだ
イーサリアムのガス価格は現在0.681851317gweiです
暗号資産価格
もっと見る








